近代文明の発展と共に私たちの暮らしは便利になってきました。その反面、現代はハイテク、クルマ、グルメ、ストレス社会、経済優先社会、24時間社会などといわれ、私たちはストレスにさらされ易く、また偏食、過食、運動不足や働き過ぎになりがちな不自然な生活をおくりがちです。また、環境面からも食物、水質、大気の汚染や有害な化学物質、電磁波の増加、地球温暖化など心身の健康を害する要因が多くあります。心理社会面でも現在の経済不況、核家族化の進行やテレビ、インターネット、携帯電話等電化製品の誤用など関係していると思われる、離婚、失業、倒産、就職困難、イジメ、非行、自殺が増加しています。そして倫理道徳心も崩壊傾向にあり様々なストレスは増大していると考えられます。
そのうえ人間は、もともと野生の動物に比較して、病気にかかりやすい、「不自然性」を有していると考えられます。すなわち(1) 2足歩行をすることにより体が歪み、血液循環不良を起こしやすい。(2) 衣服を着ることで、皮膚の機能が衰えやすい。(3) 食物を加工したり、料理することにより、過食しやすく、宿便をためやすい。(4) 社会生活や生存競争を行うため、精神、肉体のストレスが増大しやすい。 (5) 頭脳が発達しているため、いろいろなことを考える反面、不安になったり、落ち込んだりしやすい傾向にあります。
以上の要因などにより、生活習慣病(高血圧、糖尿病、高脂血症、心臓病、肥満など)、アレルギー疾患、ガンなどの慢性疾患やうつ病、神経症、心身症、行動異常(過食症等)などのストレス関連疾患は近年、増加していると考えられます。また病気にはならないまでも、大人も子供も体質が虚弱化し、疲労感、腰痛、肩こりなど訴える人や元気のない人が増えている様に見受けられます。
こうした状態を克服し、私たちが健康を維持するためには、できる限り有害ストレスから身を守るとともに、対症療法中心の現代医学に依存し過ぎるのを改め、自然に即した、自分の弱点を補うような生活(養生法)を取り入れるなどして自然治癒力を高めることが大切であると考えます。
以上のような観点にたって、「ふきのクリニック」では、現代医学に漢方、食事療法指導(自然食中心)、心理療法、光線療法、プラセンタ療法、各種点滴療法、西式健康法(甲田療法)など取り入れ、自然治癒力の向上を目指した統合医療(ホリスティック医療)を行うよう努めています。すなわち現代医学、漢方、心理療法、各種代替療法を行う他、生活医学(セルフケア)として(1) 食事療法(断食・少食療法など)により腸内環境を改善し、肝臓・腎臓など内臓の働きを強め、清浄な血液を循環させること(汚血の改善)、並びに(2) 各種運動療法や生活法により体の歪みやコリを是正し、自律神経を調整することが大切であると考えています。
治療のみでなく、予防や健康増進のヒントを得るためにもお気軽にご利用下さい。
2011年4月
院長 : 吹野 治
1975年
鳥取大学医学部卒業
1977年
九州大学医学部心療内科 その後、講師、医局長に着任
1986年より
国立療養所鳥取病院医長(内科・精神科診療)、静岡県総合健康センター健康科
学課長、松原徳洲会病院内分泌代謝内科部長などを経て、
2004年
(財)生活環境問題研究所附属 健康の森内科診療所長(大阪府吹田市)
2008年
ふきの予防医学研究所(2月)、ふきのクリニック(10月)を大阪府藤井寺市に開設
現在に至る。
この間、内科(内分泌学専攻)、心療内科の臨床や研究に従事。
また予防医学の他、漢方や自然医学(断食療法、ヨーガ療法、西式健康法など)の研修も行う。
所属学会 : 日本心身医学会(心身医療「内科」専門医)、日本綜合医学会(学術委員)、日本統合医療学会など
その他 : 日本医師会認定健康スポーツ医、 日本医師会認定産業医、 医学博士
四大原則
健康は、「皮膚」「栄養」「四肢」「精神」の四条件により保たれている。そしてこの四者は緊密に関係している。すなわち一つ一つ分離していては、真の健康体は成り立たない。
西洋医学にはない考え方であるが、慢性疾患に対処するのに大変重要な概念と考えます。(吹野)
宿便があるかないかは別として、とにかく腸内環境を良好に保つことは、特に慢性疾患に対処するには大変重要だと思います。(吹野)
断食療法や少食療法は、現代の飽食の時代において、大変重要かつ有用な療法であると思います。現代栄養学にないマイナス栄養学として再認識される必要があります。(吹野)
この運動は、ただ足首を上下に動かすだけですが、手軽に、膝の悪い人や病弱な人にもでき、しかも血液(体液)循環を改善する事により、病気の予防と治療にも応用できる運動です。当クリニックでも最近、患者さんに実施していただき良好な効果を上げています。
一度、お試し下さい。
【 闘病と従病 (ショウビョウ) ついて 】
病気には、(1) 急性疾患や外傷などのように治療や養生で短期間に治っていくものと、(2) ガン、アレルギー、リウマチ、生活習慣病、うつ病などの慢性疾患(もともとの体質などに関連性もある)のように治りにくい病気や、また、(3) いろいろな治療、養生をしても治らない病気(手遅れの病態や組織の不可逆的変化を伴うもの)があります。
(1) の治りやすい病気には、闘病的態度すなわち病と闘うという態度でしっかりと治療や養生をすればよいでしょう。一方、(2) の慢性疾患など治りにくい病気や(3) の治らない病気に対しては、「闘病」より「従病(ショウビョウ)」(人間学的心身医学で使用)すなわち、適当な養生をしながら、生甲斐を求め「病と共に力まないで生きる」のこころがまえで向き合った方が病気の改善にも良い影響を与えるようです。一方、病気は治さなければいけないものと考え、こういう治りにくい病気に対してもむやみに闘病的になることは、かえってストレスをまし、病気の経過にもかえって良くない影響を与えるばかりでなく、疲れ果ててしまい一生を棒に振ってしまうことも少なくないようです。従って、発想を転換して、病気を治すことにではなく、人間らしく、自分らしく生きることに人生の目的があると考え、薬は控えめにし生活習慣を適切に改善(養生)して生きるとよいでしょう。
仏教では、人間はさまざまな業(ゴウ)を背負って生きており、四百四病(シヒャクシビョウ)を体の中に抱えていると考えています。ある意味で、生きている人間はすべて病人であり、病、苦しみに「耐え抜く」ことが大切であると考えます。良寛禅師も「災難に逢(あう)時節(じせつ)には、災難に逢がよく候」と、あまり病気や健康を気にし過ぎず、とらわれない精神が大切であると説いています。私も日常診療をしながら、慢性疾患が増加している今日、「病と共に生きるという(仏教では同治という)」考え方で病と向き合い、生甲斐を求めながら人生を充実させることが特に必要であると感じています。